3月31日 東北大震災●JDFみやぎ支援センター 活動報告書

3月31日 記録者名 増田 一世(やどかり) 小野 浩(きょうされん)

支援員 5チーム 15人

●活動方針・計画●
1.訪問調査の開始
(1)JDFみやぎ支援センターを設立したことを周知することと、今後の訪問調査活動の基礎(訪問活動のマニュアル、聞き取り調査のマニュアル等)を確立することを目的に、被災地域の自治体の役所と近隣の避難所を訪問する。
(2)今後の訪問調査の基礎資料を把握するために、避難所設置の最新情報を集約し状況、障害者施設等の現況を調査する。

2.みやぎ支援センターの運営・体制等の整理
(1)支援員の生活とセンターの運営、日課、分担についての整理
(2)事務局体制の確認
(3)物資管理の確認
(4)書式の整備、データ管理の方法

●活動報告●
1.訪問調査活動の報告
(1)グループ(報告 石黒)
・利府町  避難所訪問
・松島町  役場 担当課長 避難所マップはない。比較的松島は内湾なので大きな被害はなかった模様。障害者はいないといっていたが?
・東松島市  海岸がなくなっている。避難所7000名。社協(福祉避難所) 重い障害のある人の避難所(現在はいない)名簿は提供できない。身障協会の副会長を紹介してもらい、電話で問い合わせたところ、1500人の会員のうち200名が被災にあい、10名ほどが死亡か。
避難所が学校にあるため、新学期を迎え学校の避難所はなくなる。
銀の星 通所知的授産施設 15名の障害者の避難場所(ホームも壊滅状態)。
物資が来ない。JDFみやぎ支援センターから社協に連絡を入れて物資が入るようになる。
避難所には障害者はいないと。

(2)グループ(報告 絹田)
・名取市役所  混乱状態 障害者の避難所利用把握していない.出勤できる職員が少ない。
避難所は19か所、2000人が避難生活。
避難所で障害者の親と話すことができた。困っていることは、療育手帳の再交付が不安。作業所通所が再開できるのか。避難所では3食あるので困らない。
・岩沼市役所  4階建ての市役所。階段に被災状況を貼ってある。地域の方が集まって写真を見ている。1階が対策本部。社会福祉課と話したが、混乱しているため、避難所の障害者の利用状況は全く把握していない。
・亘理町役場  建物の使用していない。避難所―障害のある人の利用状況は不明。避難している人の話聞いた(名取に記載分)。
・角田市 障害者施設を訪問。4月から開所するが、ただしライフラインが再開していない。燃料確保が難しいので送迎はできない。
・山元町 役場に遺体安置所と避難所が設置され、1階窓口は安否確認と遺体確認の窓口になっていた。同じ敷地にある保健センターでは、使い捨ての白衣を着た看護婦が対応していた。狭いスペースで医療行為。予想以上にひどい状態。海外沿いを走ると、石巻のような状況。
・仙台市内の区若林区役所 混乱していた。担当課の話では、みどり工房が閉鎖。ある聴覚障害者が10日たってから「何があったのですか」と来所してきた。何が起こったはわかっていたのだろうが、どうすればいいのかがわからなかったようだ。
若林区の福祉避難所は、高齢者は特養、障害者は障害者福祉センターに設置。高齢者は 6世帯。精神の入院患者が増えている。民生委員などを中心に避難所を訪ねて全戸訪問している。在宅の人は漏れていることがある。訪問看護ステーションがよく動いている。燃料の関係で動けない、移動手段がない。電話も不通。低酸素脳症で入院した人がいた。人工呼吸器の人には連絡した。若林区動きが早いといえるが、動ける職員が少なく、思うようにつながっていないのが残念。
・太白区 避難所にいた聴覚障害の人に手話通訳を確保することできず、情報を的確に伝えられない。仙台市障害者支援課。何もつかめていない。目の前のことを消化するのに精いっぱい。

(3)グループ(報告 生津)
・石巻市役所 障害福祉課が対応。県からJDFみやぎ支援センターの事前情報がファックスされていたため、とてもていねいな対応だった。津波の影響が大きく、行方不明が半分。
「しょうしんかい」という会が中心に、福祉避難所になっている、石巻支援学校、サンネットなごみ、就労支援センターコスモス等を訪問している。
聴覚障害は、石川県の補聴器の電池などを対応している。
河南中学校近くの高齢者施設に重い身体障害の人がいる。
一般の避難所に障害者がいるかはわからない。
通所の作業所の利用者の安否確認は今後の課題。
在宅の障害者では、他の県に避難している人もいる。
石巻の障害者リストはない。
物資は入っているが、在宅の人に届ける対応ができていない。
事業所の対応は4月以降になる。
・石巻支援学校の福祉避難所
 45名のうち13名が障害者。うち8名が生徒。家が流されてどこにも行くところがない家族。自閉所の人で、避難所にいられない人が教室で生活している。新学期が始まると学校では生活できないため、どこか安心できる場がほしい。
重度の人の行く場所がない。市内や県内で過ごしたい。ダウン症や知的障害の人も避難所生活は限界にきている。
NPO法人が回ってきて、ガソリンを売りに来た。怪しかったので、すべて断っている。「JDFみやぎ支援センター」の名札着用が必要。
・社会福祉法人の福祉避難所。何人いるかも把握できていない。したかみ園に本部がある。
・女川  町全体がなくなった。役所が崩壊しており、仮事務所と避難所を総合運動場の体育館に設置した。災害対策本部はパニック状態。災害ボラセンターを訪問した際、社協が運営している地域活動支援センター「ウミネコ園」7名の安否は確認しているが、他の施設の利用者の安否情報はない。避難者集計表はあるが、障害者の把握はできていない。避難所は21か所あり、避難者数は2500人。生存者は避難者を含めて8000人、人口の約半分が亡くなっている。窓口は災害ボラセンターが今後も対応。県からも役場からも、指示はない。
(女川に行く際,時間によっては通れない時間がある.迂回していくような状況.自衛隊がう回路を作っている.余裕持っていく必要がある)

(4)グループ(報告 鈴木)
・七ヶ浜 みお七ヶ浜を訪問。3人の方が被災し、難所で暮らしている。身体の人2人,ペースメーカー1人.仮設住宅希望している。
・七ヶ浜町役場 担当者の対応はていねいだった。避難所6か所、1100人が避難。役所の電話もやっとつながったところ。東北で一番小さな町。
もう1つの施設では、一時宿泊していたが、現在休所中。在宅者はいない。
広域を担当している相談支援事業所があり、ストマ用具は来ているが周知できていない。
・七ヶ浜社協を訪問
14地区ある地区の民生委員も被災者。保健師が定期訪問。社協が運営している施設は休所。障害者のニーズはある。ローラー作成で回ってきたらニーズが見えてきた。個別のニーズが拾えるのではないか。在宅で知的の障害者と同居している本人から相談があり、物資は民生委員から区長を通して配布したが、氷山の一角だろう。おむつが必要など、個別のニーズが見えてきた。
・国際村の避難所  車いす 5人 知的 1人 精神 1人
避難していたAさん(みお七ヶ浜の利用者)は、ガソリンはないが、物資は豊富、水が使えないのでシェーバーがほしい。風呂が難しい。自衛隊は沐浴。介助者がいない。仮設住宅待ち。ガソリンが抜かれるなどもある。手帳の再交付の手続きを役場でうまくいっていない。ガソリンがなくて役所にも行けない。周りの人は頑張れと言うが。
・塩釜市  役所―係長対応。活発な活動をしている。包括支援センターが中心に高齢と障害に物資の運搬し、ヘルパーが物資を届けている。介護・高齢が中心。
視覚障害のガイヘルはいるが食糧が買えない。ガソリン券はあるがガソリンがない。
避難所  長期 100人(車いす) 短期 150人
施設  開所(2か所は水没)福祉避難所も自宅に戻っている。グループホームは水没した。
入居、長期には難しい。県にも打診.返答がない.支援がないと在宅は難しい.
社協―事務所では把握できていない.ボラセンター  手をつなぐ育成会

(5)グループ(報告 増田)
・多賀城市 人口62,000人(死亡者175名、行方不明者35名、避難者4,294名うち宿泊者2,767名、避難所10ヶ所)
多賀城市役所 社会福祉課障害福祉係、保健師、―在宅の障害者の現状の把握はできていない.訴えのある人に対して保健師などが対応している.保健師の方は役所を離れられないので,在宅の視覚障害の人たちのことが気になっている.
多賀城社会福祉協議会  広島県社協から支援に入っている方 避難所・在宅の障害者の実態はあくまでできていない.問題は多いと思う.
 障害者のことは気にかかっている.障害者のための避難所が必要といわれた矢先にこの災害だった.社協に関係している障害者団体などにみやぎ支援センターのことは伝えていきたい.
民生委員も半数以上が被災者で,十分に地域活動ができない状況.
多賀城市市民活動サポートセンター  ニーズの把握のために避難所の責任者への聞き取り調査を実施.現在分析中.結果は対策本部に提出.障害者の問題はあると思っているが,把握できていない.
 せんだい・みやぎNPOセンターは,みやぎ連携振興センターを立ち上げ,支援をしたい団体とサポートを必要とする市民を結び付ける取り組みを始めた.被災者とNPOをつないで支える合同プロジェクトも立ち上がっている.(いずれもブログがある)
多賀城市地域活動支援センターコスモスホール 建物に被害はなかった.利用者で2人が避難所生活.それなりにやっている.避難所での生活が忙しく作業所に来れないこともある.現在は炊き出しをメンバーのために実施.
・避難所 現在10か所
 そのうち4か所を訪問  天真小 700人  多賀城中  370人  多賀城小  300人
             文化センター
いずれも障害のある人はいるだろうが,把握はしていない.困ったことがあればその都度対応.入院等が必要な人の場合にはすでに対応すみ.

2.訪問調査のまとめ(小野)と翌日の課題
31日の訪問調査は、実態把握も目的にあったが、JDF宮城支援センターの周知と、今後の訪問調査活動の基礎を確立するための情報収集でもあった。
本日の訪問調査では、同じ被災地でも、被災の大きさによって、被災者の生活状況に大きな違いがあることがわかった。訪問先の役所や施設、避難所の状態、物資の供給状況、ライフラインの復活状況などに大きな差がある。女川や南三陸地域は、町全体が機能不全状態で、住民全員が社会的障害を負っている状態にあるともいえる。今後の訪問調査や個別の支援活動を具体化するうえでは、一刻も早く被災地域の全体像を把握する必要がある。
また、宮城県障害福祉課が、沿岸部の津波被害地域の特定と、連絡不能な障害者施設を書き込んだ地図と、被災地域の障害者施設等の名簿を作成してくれた。
4月1日の訪問調査では、引き続き同じ担当地域の避難所訪問とともに、障害者施設等への訪問を開始する。