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平成20年度障害者自立支援プ ロジェクト総括会議の報告 その6

「ノルウェーのディスレクシア団体の活動」
兵庫県LD親の会「たつの子」副代表、山中香奈、山中兄弟
支援技術開発機構 濱田麻邑

以下抜粋文:
22~26日の視察では、ディスレクシア協会、NLB、ヒューズビー・リソースセンター、ディスレクシアのDAISYユーザーとの交流として、高校生の女の子と実際に交流をはかりました。

ノルウェーでのディスレクシアの診断ですが、4歳児健診があります。ここではまだディスレクシアの判断は難しいです。小学校2年、4年生で、学校一斉に、スクリーニング検査があります。そこで実際にこの点数ならディスレクシアではないかと、発見するそうです。各学校に附属している教育心理センターがあり、そのテストで引っかかった子のより詳細な診断と、その子に合った支援を提案してきます。ノルウェーではディスレクシアと診断された子どもには、国からパソコンが無償提供されるそうです。無償提供されたパソコンを使って授業の支援ソフトなど、今回のDAISYなんかもそうですが、そういうものを使って授業を受けている状態です。数年前までは診断が必要だったんですね。PCをもらうときも支援をするにしても、細かく診断をつけて、この子は何々を持っているというような診断があったそうですが、今は必要であれば支援をしていくという形に変わってきているそうです。

学校は必要な子どもに支援を提供する義務があると法律で決まっているそうです。子どもには必要な支援を受ける受ける権利もあるそうです。一人一人のニーズによって教科書も選ぶことができる。これは、学校の先生が教科書を選べ、その子が使う。ですから同じクラスでも違う教科書を使っている子どもがいるということです。読み書きパソコンが学習の基礎。これが政府の方針だそうです。日本では、読み書きソロバンと言われて、現在も読んだり、書いたり、計算するのが重要視されていますが、ノルウェーではパソコンができるようになるというのが、自立への第一歩らしく、パソコンを幼いときから使わせているという状態です。デイジーやEテキストなどの代替教科書、支援ソフトは学校が購入し、支援させる。教科書をデイジー化するセンターがあるんですね。そこから学校が購入するんですね。それを自分の学校のディスレクシア児童、もしくは必要としている児童に提供する、そういうシステムが成り立っています。学校には、特別支援の修士号を持つ教員が各学校に一人います。

ノルウェーのディスレクシア協会は、親の会のような家族主体の会でしたが、最近では当事者主体に移行しています。このディスレクシア協会の運営費の資金の3分の2は国が補助しているそうです。日本とは名前の呼び方が違うのですが、文化省、厚労省、教育省から援助があるそう
です。当事者の自立を支援する団体への補助金がかなり多く出ているらしいです。ノルウェー全土にメンバーが約6000人、うち、1000件が学校、全土に35の支部があるそうです。理事・理事会が青年部と分かれていて、26歳以下の会員の理事会もあり、より活発に行動されているようです。理事会が2年ごとに方針を決めているそうですが、今年の重点活動として、ディスレクシアフレンドリースクール認定のための講習があるそうです。これはディスレクシアの子どもたちにどうやって教えたら、子どもたちが快適に勉強できるかを、先生が学ぶために講習を受ける。
その先生たちが学ぶと、よりディスレクシアにフレンドリーな学校になります。その講師は当事者たちが行っているそうです。自尊心を向上させるためのワークショップを開催しています。これをものすごく尊重しています。子どもたちが、自分の自尊心が低下してしまうと何もできないんですね。これが向上していくことで自立を促して、就労まで持って行く。

ICTの講習では、子どもたちにとって、やはりパソコンが必要なんですね。そのパソコンを教える講習をしているそうです。

早期介入。
4歳児健診でひっかかったお子さんもいるわけで、そこには早期支援として、早い段階で支援をしていきたいと、重点活動にしているそうです。ノルウェーは公用語でノルウェー語がありますが、それ以外にも英語教育があります。英語が使えるようにならないと、将来難しいそうです。早期から英語教育を始めていきたいということですね。ディスレクシアフレンドリースクール当事者が講師をしています。先生のための講習なので、学校の先生に当事者が、私たちにはこうやって教えてくれたらとてもわかりやすいよと、当事者が先生に教えます。

ICTトレーニングは濱田から。

ICTトレーニングですが、自尊心を回復することがすごく重要だといっていましたが、自尊心を回復するためには、まず自分ができることを増やす。そのために、自分で読み書きできることを支援するためのICTの技術を自ら身に付けることを重視していて、トレーニングをしています。
よく使われているものとしては、パソコンを活用して支援ソフトをたくさん使っていました。

使われていたのは、単語予測。文章を書くときに初めの一文字を打ち込むとその文字から予測される単語のリストが出てきます。ソフトはその人がどういう単語を打つことが多いかを学んで、よく出てくる単語リストを出してくれるので、自分で前後の単語のスペリングを打ち込まなくても、リストから選ぶことで、単語を打ち込むことができます。

またスペルチェック。ディスレクシアの人たちがしやすいので、それがあったときに直してくれる機能です。パソコンの読み上げを使って、自分が打ち込んだ文章や学校で配られたプリントなど、ノルウェーでは、学校の教材、プリント、日本ではよく紙で配られますが、ノルウェーではインターネットでウェブサイトからダウンロードできるようになっています。宿題も、先生にメールで送ることがあるそうです。そういうプリント類もパソコンで読み込むことができるようになっているそうです。

辞書は、単語がいくつかある時、どの単語を使うかを確認するために辞書を使っていました。基礎的なパソコンスキルとして、Word、Excel、PowerPoint、DAISYの再生ソフトの使い方もトレーニングしているそうです。これらのICTを使いこなした当事者たちは、「スーパーユーザー」と呼ばれていて、学校の先生や自分以外の生徒、ディスレクシアの当事者たちにパソコンの使い方を教えてあげる、学校の先生にも、ディスレクシアがあると、こういう支援ソフトをこう使うと読み書きが自分でできると教えてあげるようなこともしています。

次、NLB、国立盲人図書館を訪問しました。
やっていることは、DAISYやe-テキスト、点字図書の製作と提供です。最近では、点字図書の数が減ってきたと言っていました。学生に対するサービスをやっている部署では、大学生以上のDAISY教科書の提供を担当していました。大学生へのサービスなので、教科書以外にも資料として、専門書の読み物があり、それらは全部NLBでDAISY化して提供しているということでした。もともとは視覚障害者のための施設として設立した図書館ですが、ディスレクシアを含むいろんな読みに困難がある人たちにも、サービスを広げています。

ディスレクシアへのサービスは5年前から開始しており、既存の本、つまりは視覚障害者のために製作されたDAISY図書を、対象を固定せず、誰に対しても貸し出すサービスを行っています。
ですが、ディスレクシアの人がこの本を作ってくださいという要望を出し、既存の本がない場合に製作することはできない。既存のものは貸せても、新しく作ることはできないそうです。
1年間でNLBで製作されるDAISY図書は350タイトルです。制作費は、政府から出ています。
録音しているのは、俳優やアナウンサーなどプロの人たちで、1冊ごとの契約で賃金を支払、録音をしているということです。

DAISY編集は、NLBのスタッフが行っています。
現在DAISY図書の50%は人が録音したもの、50%は合成音声、パソコンの読み上げの声で、テキストと合成音声を使ったフルテキストDAISYです。最近は、大学への製作技術を移転しはじめています。NLBで製作できるものはしますが、例えば、ディスレクシアの生徒が欲しい本があった場合、NLBで製作できないことがあります。そういう場合、大学で製作できるように技術移転を始めているそうです。

現状、CDで郵送配布をしていますが、スウェーデンとデンマークと一緒に、ダウンロードできるサービスの準備もしているというお話でした。NLBは、大学生以上の教科書のDAISYを提供していますが、次にヒューズビー・リソースセンターという、小学校から高校までの代替教科書のDAISY化をしているところについて。1975年に、視覚障害者のためのリソースセンターと学校へのコンサルタントとして始めたものです。ここも、もともとは視覚障害者のためのセンターで、2006年にディスレクシアへのDAISYの提供をしています。やっていることは小学校から高校までの代替教科書のDAISYの製作と提供を行っています。

最後に、当事者からの希望です。
一緒にノルウェーの視察に行った、山中兄弟からメッセージを伝えてもらいます。

僕はパソコンとポケットを使っています。日本でも、ディスレクシアのことを理解してくれる人が増えるといいと思っています。みんなの助けを借りながら、僕は大人になるまでに、仕事ができるようになりたいです。僕は学校にDAISYを持っていけると、もっと勉強が楽しくなると思います。僕みたいな困っている子どもを早く助けてほしいです。日本の国がもっと助けてくれるといいと思います。
(拍手)

僕はいろいろな本がDAISYになって、いっぱい読めたらうれしいです。
(拍手)

IH

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